作成日:2023/07/24
最近、弁護士事務所を通じての訴えが増えています。多くは、「未支給の時間外手当を払え」です。
この時間外請求が増加している原因はいくつかありますが、例えば以下の通りです。失礼ながら言わせていただければ、授業員からこのように、弁護士を通じて、あるいは労基署に駆け込まれて、「無傷」の会社はほぼないと思います。大なり、小なり、支払う必要があるケースが多いかと思います。
1.長く続いた、「過払い金請求」が、さすがに該当するケースが減少してきて、それに替わるものとして、時間外労働の請求が増加してきた
2.2020年4月に民法が改正になって、賃金債権の時効が2年から3年になった。この3年の時効の完成が今年3月末。例えば、1年間の残業代未払が50万円とすると、以前は100万円(50万円×2年)が150万円になった(50万円×3年)。要は、請求できる金額が1.5倍になった(請求の旨味が増加した)
3.労基法等の中で、会社の責任=労働時間の適正把握、時間外労働の支払い義務化がより明確化し、会社に対し、より厳しくなった
最初は事例は、今年辞めた社員が弁護士事務所を通じて「未支給の時間外手当」を請求してきた話です。相手は依頼を受けた二人の弁護士、こちらは社長と私
実は、弁護士から通知が来た場合、最初に思うのは、「この弁護士はどの程度労働法、判例、実際の労働紛争」を知っているかです。
今回の件も労働関係の法律、実務を知っているのか?知っていて、あえてとんちんかんな請求をしているのか? 判断に迷います。
1.5年分の残業代未払請求でした →もちろん、3年分しか支払う必要はなく時効の援用をしました
2.請求の中に、「付加金」の請求が入っていました。つまり「倍払え」ということです。しかし、付加金とは「労働者の請求により、裁判所が裁量により支払を命じる金銭のことです。裁判所から付加金の支払いを命じる裁判が下される」。
つまり、裁判で、会社がかなり悪質と裁判官が判断した場合に、会社を懲らしめるために課す制度で、民事上の交渉で請求できるものではありません
このような常識外の請求の中、4回交渉して、残念ながら交渉は打ち切りとなりました。
ところで、このような労働事件で、弁護士でもない社労士が関与できるのか?と思う方もいりかと思います。特定社会保険労務士 2007年に誕生したばかり。私はスタート時に特定社会保険労務士になりました
通常の社労士業務に加えて紛争解決手続きの代理業務が可能になった点が、特定社会保険労務士と社労士との一番の違い
特定社会保険労務士となることで、本手続きの代理人として、あっせんや調停、あるいは仲裁の手続きによって、ADR業務を行うことができます。
1. 都道府県労働局及び都道府県労働委員会における個別労働関係紛争のあっせん手続等の代理
2. 労働者派遣法、育児・介護休業法及びパートタイム・有期雇用労働法の調停の手続等の代理
写真は、掲載と関係ありませんが、今月、名寄事務所での家内の弁当の様子です。いつも健康に気を使ってくれます。ありがとうございます。

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