作成日:2024/01/07
(労働者の)債務の不完全履行受領拒否論 ある事例
昨年担当した事件の一例です。
労働者が週に何回か夜のバイト(スナックのようなところ)をしていて、深夜の午前2時過ぎまで働いて、次の日、会社で居眠りをしていました。社長が少し、厳しく注意をしたら、(その問題の若い社員は)次の日から出社しなくなり、連絡しても電話に出なくなりました。
いつまでも出勤しないので会社は困って、自己都合扱いで退職の手続きをしました。それに対して、「会社はけしからん」と地元の合同労組(誰でも加入できる労働組合)に加入、団交して、労働委員会に申し立てしたものです。
さて、問題の社員も、会社の対応(=というより、就業規則が全くダメ・不備なのが今回の問題発生の発端なのですが)両方の主張の疑問点を指摘し、一回の期日で解決=和解になりました。
(労働者の)債務の不完全履行=仕事中居眠りをする、それに対する受領拒否論
「不完全履行」とは、債務の履行はあったものの、その履行が本旨に従って行われていないことをいいます(民法415条1項)。この理論は、結構難しい理論ですが、法人にとって極めて重要な理論です。
私は事件を担当するにあたって、せっかくのご縁なので、両方にとって納得のいく、後々何か役に立つ解決を重視しています。
印象的だったのは、この会社の社長、性格は悪くなさそうだったのですが、私の指摘した就業規則の不備・見直しの重要性を理解してくれたか?
一方、訴えた側の若い社員、合同労組の地元及び北海道:札幌の幹部の様子です。問題の社員が、夜のバイトをして、会社で居眠りをすることをどう考えるか?
あまり悪い行為とは考えていない様子。
この若い社員、「仕事をなめています」。このような考えでは、どこに行っても、必要とされる人材になることはできません。同じように、「早く辞めてほしい社員」となります。仕事を通じてのやりがい・喜び、仕事を通じての成長もありません。周りの大人がさとし、本人が自覚することが重要かと思います。
写真は、私の持っている労使紛争解決・予防、問題社員への対応の本、約20冊の中の1冊。河本弁護士著も「労働紛争解決 実務講座」です、日本法令出版、本文2,413ページ、判例・用語等が約200ページと膨大です。労使紛争、ほぼ完ぺきに網羅しています。

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